導入プロセス

バイオマスボイラー導入のプロセス

導入プロセスの概要

お客様がバイオマスボイラー導入を検討されてから導入に至るまでには、多くのプロセスを経ることになります。特に設計は、化石燃料と異なるノウハウを有するため、丁寧に進めることが重要です。構想の段階からご相談いただければ、事業計画策定・基本設計から、施工、引渡しに至るまで、弊社で責任をもって進めます。

バイオマスボイラー導入のプロセスと担当区分
お客様弊社設計・
工事会社
①構想段階・バイオマスボイラー導入検討のため弊社に相談
・基本データのご提供による事業性の簡易シミュレーションを実施
・導入に踏み込むかどうかのご判断
・導入を前提に基本設計・事業計画の策定を弊社にご依頼
②基本設計・事業計画策定・現地調査・詳細なデータご提供に基づく、基本設計・事業計画の策定
・建屋、配管・電気工事関係打ち合わせ・設計作業
・導入判断、補助申請、工事・届け出関係にかかわる役割分担
・実施設計・工事(バイオマスボイラー設備機器、建屋、配管、電気)
③工事・引渡し・実施設計・工事(バイオマスボイラー設備機器、建屋、配管、電気)
・引渡し
④運用・日々のボイラー操作、燃料管理、燃焼灰の搬出、簡易点検等
・ボイラー設備機器に関するアフターサービス
・稼働データ分析にもとづく運用改善提案

*木質バイオマスボイラー導入に際しては、国等の補助金があり、申請段階からお手伝いすることもいたします。
*本件は、バイオマスボイラーを単独で導入する場合です。地域熱供給網や熱電併給の場合は、内容が異なります。

導入プロセスの詳細

STEP1:構想段階

バイオマスボイラー導入の検討に際しては、イニシャルコストはどの程度かかり、燃料代はどの程度削減できるのかなどの導入効果を、まずは概算で把握する必要があります。構想段階でご相談いただければ、弊社にて簡易シミュレーションを行います。

簡易計算に必要なデータ
①当該設備の名称と所在地
②熱の用途(暖房・冷房、給湯、昇温等)
③【既存施設に導入する場合】12か月の化石燃料消費量(灯油、重油、プロパンガス、電気等)と燃料代(もしくは想定する単価)。
④【新設の施設の場合】空調面積・浴槽の大きさ・曜日ごとの想定入浴者数等。

STEP2:基本設計・事業計画策定

簡易シミュレーションを踏まえご導入の判断をなされると、次に弊社にて基本設計と事業計画の策定作業を行います。
この段階から、経費が発生します。これは、国の補助制度などを使うことができます。また、秘密保持契約を締結していただきます。
現地調査に基づき、既存施設への接続方法などを含むシステム設計を行うとともに、ボイラー・サイロのレイアウトを決めます。これらにより、イニシャルコストの見積もりを出します。
また、燃料消費量やボイラー規模の選定、ボイラー稼働率、バイオマスカバー率などのシミュレーションを行います。これに、稼働時間などからメンテナンス代なども含め、ランニングコストを計算します。利用可能な補助制度なども検討します。

STEP3:工事・引渡し

導入が決まると、建屋設計事務所、建屋・サイロ建設会社、配管・電気工事会社と打ち合わせを行います。
バイオマスにかかわる技術に関しては、基本設計の仕様が現場に反映されるよう、弊社できめ細やかな確認を行い、品質が担保されるようにします。
工事完了後、設備機器が正常に作動し、設計通りの能力を出しているかどうかの確認を行います。稼働開始後1か月間は遠隔監視にて稼働状況をチェックし、必要に応じ調整を行います。
ボイラー引渡し1か月後をめどに、現地にて、運転や日常管理、メンテナンスに関するご説明を行います。

STEP4:運用

ボイラー引渡し1か月以降は、お客様にて日々の運転操作、燃料管理、燃焼灰の搬出等を実施していただきます。弊社はインターネットを介した遠隔監視サポートにて、お客様から運用にまつわるお問合せにお答えしたり、不具合等が発生した場合のサポートを遠隔(電話、メール、LINE等)にて行います。
また、お客様にて月に一度簡易点検を実施していただきます。作業内容は引渡し1か月後に現地でご説明するとともに、点検当日は遠隔サポートを実施します。
さらに、一定時間運転後には弊社技術者による定期メンテナンスを実施します。
なお、簡易点検や定期メンテナンスの作業期間中は、ボイラーを1日程度停止する必要がありますので、熱利用施設の運用を考慮しながら、作業日程を決める必要があります。
また、運転データの分析により運用方法改善の提案(有償)も可能です。

バイオマスボイラー導入におけるチェックポイントの概要

バイオマスボイラーの事業性の指標

バイオマス熱利用は、化石燃料に比べ割高なイニシャルコストを、割安なランニングコストで回収するビジネスモデルです。ランニングコストの8割前後は燃料代で占められるため、燃料代の削減が事業性を評価するうえでの最大のポイントです。
そのためには、バイオマスの特性を踏まえたエネルギー効率の高いシステムとすること、バイオマスボイラーの稼働率・代替率を可能な限り高めることが重要です

バイオマス事業性の評価項目と指標
項 目内 容
①バイオマス代替率 可能な限り化石燃料を代替し、バイオマス代替率を高めること。
②稼働時間・稼働率 バイオマスボイラーの稼働時間・稼働率が高いこと。
③エネルギー効率消費燃料が熱量換算で化石ボイラー以下に収まっていること。
④動力代全エネルギー供給量の一定内に収まっていること。

エンジニアリング

固形燃料であり、水分も性状もさまざまな木質資源を燃料とするバイオマスボイラーは、ボイラー本体や煙突、燃料供給装置などの周辺機器のみならず、熱供給システムも日本の化石ボイラーのシステムとは大きく異なっています。
化石ボイラーを単にバイオマスボイラーに置き換えるだけでは、バイオマスボイラーの稼働率・代替率も高まらず、事業として成立しません。バイオマスプロジェクトの実施にあたっては、バイオマス熱供給システムの特性を熟知した技術者によるエンジアリングによる確認が不可欠です。

メーカーの技術力の評価

バイオマスは、小さいながらもプラントであり、バイオマス固有の技術をすべてにわたって、適切に応用することが、事業性の高い導入の前提となります。
この点、バイオマス導入実績の圧倒的に少ない日本の現状では、バイオマス技術はメーカー(日本の代理店を含む)の経験・技術的知見に頼らざるを得ません。ところが現実には、バイオマスボイラーを取り扱うメーカーの技術力は千差万別であり、このため、どのメーカーを採用するかが、バイオマス導入の成否を大きく左右します。
メーカーのエンジニアリング力は、下表のチェックシートを用いて確認できます。本来なら、これらの項目は、バイオマスを取り扱うメーカーであれば必ず対応しなければならない、最低限の技術項目です。

メーカーのエンジニアリング力を判断するためのチェックシート
ボイラーメーカーのエンジニアリング力
①燃料供給装置・サイロ・燃料供給装置はチップのつまり発生を抑制するような構造になっているか(これに対するメーカーの考え方を確認)
・使用するチップの水分に対応した燃料供給装置を提案できるか
・サイロの実効容積のメーカー基準はあるか
・サイロの実効容積を可能な限り拡大するような構造を提案できるか
・サイロの湿度対策の提案があるか
②煙突・ドラフト計算とそれにもとづいた仕様(径、高さ、断熱仕様)の煙突を提供できるか
③制御関係・ボイラーの制御方法の説明ができるか
・その制御方法は、蓄熱タンクの温度成層を利用した制御になっているか
・ボイラーが低温状態から起動するときに、熱交換器の結露予防対策をとっているか
・電力消費量を抑制する制御になっているか

メーカーのサービス体制

事業計画で策定した稼働時間やバイオマス代替率を達成するためには、ボイラーが安定稼働することが前提です。不具合が頻繁に発生したり、不具合対応に時間がかかるようでは、稼働率・代替率を高めることができず、採算性は悪化してしまいます。
安定稼働のためには、それを支えるサービス体制と、燃料詰まりなどのトラブルに対し、現場で迅速に対応できるような管理体制が重要となってきます。この点も、メーカー選定に際して確認すべき不可欠の項目です。

WBエナジーがご提供する製品・サービス

プロジェクト実施体制と導入実績

弊社は、バイオマスボイラーの計画立案などの構想段階から導入に至るまで、責任をもって管理する体制を構築しています。また、バイオマス固有の技術に関する知見と経験を有し、バイオマス熱供給システムに最適なエンジニアリングを実現いたします。
弊社の取り組みの成果は、導入・稼働実績に表れています。創業から6年で導入24か所、30台(2020年6月現在)にまで拡大しました。弊社では、これらすべての導入実績を公開しており、視察していただくことが可能です。また、バイオマスボイラーの稼働時間、バイオマス代替率、エネルギー効率などの稼働実績も公開可能です。


取扱製品

バイオマスボイラーやそれにかかわる設備機器は、欧州がもっともイノベーションが進んでおり、欧州製品の利用は事業性の高いバイオマスシステムの構築に不可欠です。
弊社ではシステム設計提案から付帯設備の提供を一括して行うことで、省エネ化を図り、お客様に実感していただける、導入効果の高いバイオマス熱利用システムの構築を実現します。

また、バイオマスボイラーは、メーカーごとに取扱いのノウハウや技術・経験が必要となること、安定稼働のためスペアパーツの保管やアフターサービスの人員体制の整備が重要なことなどから、その輸入販売には、大きな責任を伴います。
このため、弊社では、欧州の代表的な小型ボイラーメーカーであるKWB社と代理店契約を締結して、日常管理・メンテナンスからスペアパーツの管理までを一貫して行える体制を整備しています。

バイオマスボイラー導入後のサービス体制

弊社では、導入いただいたボイラーが安定稼働し、計画通りの能力を発揮できるよう、弊社では、以下のサービス体制を整備しています。

①基本サービス
  • 詳細なメンテナンスマニュアルを作成し、メンテナンスを行う際には、専任の社員が対応します。
  • 過去の不具合状況をデータベース化してその原因や対応方法など分析して、マニュアル化しています。
  • スペアパーツ(交換部品)については、基本部品は国内在庫を徹底しています。
  • 遠隔監視により、ボイラーの稼働状況をモニタリングし、不具合が発生した際にはお客様に対応方法を支援する遠隔監視サポートサービスをご提供しています。
  • 遠隔監視では、ボイラーの主要なパラメーターが確認できます。

バイオマスボイラー 遠隔監視 画面例
左がボイラーのパラメーター、右のグラフがパラメーターの時系列表示

②稼働分析・運用改善
  • 遠隔監視機能にはデータの蓄積と分析機能が備わっており、この機能を使って、システム全体の状況把握やシステムの効率性の分析とそれによる運用の改善策などのご提案を行うサービスも提供しています。