バイオマス利用の経験が長い欧州では、そのシステムとしての利便性は化石燃料をしのぐほどにまでなっています。
バイオマスは、燃焼方法や燃料の取扱いが、従来の化石燃料とは大きく異なります。このため、その特性を十分に踏まえて、それを設計・施工に反映させることが重要です。
これによりはじめて、バイオマスボイラーのメリットを十分に引き出すことが可能となります。
以下に、そのポイントを整理します。

KWBボイラーのオンオフ制御方法

バイオマスボイラーは、蓄熱タンクに熱をため、その熱を暖房や給湯に用いるのが基本です。
KWBのシステムは、蓄熱タンクの温度を一定の範囲に保つよう、自動でボイラーをオン・オフ運転(注)します。暖房・給湯の回路もKWBのシステムで、制御・管理することが可能です。

燃料の着火はイグニッションヒーター(高温の熱風を吹き付ける装置)によって行われ、化石燃料は一切使用しません。

薪ボイラーは、自動着火装置のみであり、一度火がついたら、薪が燃焼し終わるまでボイラーがオフになることはありません。


バイオマスボイラーの出力規模の決定

ピーク負荷の把握

バイオマスボイラーは急激な出力調整が苦手なため、まず蓄熱タンクに熱を貯め、そこから熱を供給するという形をとります。
KWBボイラーはオン・オフ運転が可能なため、ピーク需要が分かれば自動的にボイラーの規模が決まります。


運用面での工夫

冬季のピーク需要時には、ピーク前から暖房を開始し、ピークカットをするなど、運用面での対応もポイントです。
バイオマスボイラーは化石燃料と比べイニシャルコストが高めなので、このような対応によって過大設備とならないようにすることが重要です。


蓄熱タンクの温度差の重要性

蓄熱タンクの蓄熱量は、タンク容量×温度差(高温-低温)です。

このため、タンクの温度差を大きくとればとるほど、タンクの利用可能熱量を引き出すことができます。

また、温度差をとるようにすれば、ポンプの流量もその分少なくなり消費電力を抑え、放熱による損失も少なくすることができます。

蓄熱タンクの構造

サイロの構造

チップサイロ・ペレットサイロの種類

サイロの構造は、大きく地上式と地下式の2種類に分けることができます。これらは、燃料の投入方法によって、使い分ける必要があります。

地上式とは、サイロが地上設計されているものです。燃料がチップの場合、ダンプによる燃料投入ができないため、ホイールローダーを使って、運搬されてきたチップをサイロにいれます。
ホイールローダーによる、チップの入れ込み作業の手間がかかりますが、地下式の場合に比べて、ボイラー設置が楽で、建屋のコストを抑えることができます。

地上式建屋の例

地下式は、サイロが地下に掘りこんであるものです。燃料がチップの場合、ダンプで直接燃料投入ができるため、日常の手間が非常に少ない構造となっています。他方で、地上式に比べ、建屋コストがかかるのと、ボイラー設備の搬入に手間がかかります。建屋の設計にあたり、傾斜地などが利用できれば、コストを抑えることができます。サイロを地下にし、ボイラーを地上に置く2段階式も可能です。

地下式建屋の例

サイロの設計や容量の目安

サイロの設計は、燃料の投入回数や、搬入のしやすさ等といった運用面に影響しますので、以下のポイントを押さえることが重要です。

  • ①十分な容量を確保すること。(ピーク時の7日分)
  • ②サイロの実質充填率(50〜100%)を考慮すること。
  • ③充填率を高められるように、投入口の位置を調整すること。
  • ④実際に使うダンプに合わせて、搬入しやすいアクセスを確保すること。
  • ⑤サイロとボイラー室の間の壁は防火壁とすること。

燃料供給装置のつなげ方

ボイラーと燃料供給の接続は可能な限り簡単なシステムとします。
燃料供給装置は、回転アームとスクリューコンベイヤーから構成されます。回転アームでチップをスクリューコンベイヤーに落とし、ボイラーに運びます。
スクリューコンベイヤーを2段階とすることで、ボイラー室地上、サイロ地下とする組み合わせも可能です。
スクリューコンベイヤーを3段階以上に組み合わせることは、構造が複雑になるうえ、つまり易くなること、モーターがその分多く必要となり、イニシャルのみならずラニングコストもかかります。このため、当社では取り扱いしません。
KWBの燃料供給用モーターは400V のハイパワー対応であり、燃料つまりなどのトラブルを最小限に抑えるシステムとなっています。

基本的な組み合わせ
様々な供給方法(左:2段階方式の燃料供給装置、右:ダブルスクリュー)

チップの水分管理

KWB ボイラーで使用するチップの水分(ウェットベース)は、Multifire で40%、Powerfire は45%まで対応可能です。しかし、チップはできる限り水分を落として使用することをお勧めします。推奨水分は30%以下です。
水分が高いと、地域によっては冬季にチップが凍ってしまい、燃料を送れなくなるという事態を招きかねません。また、カビも生えやすくなります。水分30%以下であれば、凍ることもなく、長期保管も可能です。乾燥すればそれだけ軽くなることから、輸送の面でも有利です。
KWB 社が行った試験では、水分が高いとエネルギー含有量が低くなるだけではなく、ボイラー効率自体も低下することが示されています。つまり、水分の高いチップを使うと、燃料を多く消費するため、ランニングコストが下がらず、バイオマスの優位性を活かすことができなくなってしまいます。

水分によるエネルギー含有量の違い

煙突の径と高さの決め方

ボイラーの排気は、煙道を通り、煙突内を上昇し排出されます。円滑な排気のためには、このドラフトが、煙突の抵抗を十分に上回ることが必要です。

煙突の抵抗は、径が太ければ太いほど、小さくなります。また、煙突が高ければ高いほど、ボイラーの排気温度が高ければ高いほど、ドラフト効果が発揮されます。

エネルギー効率の高いKWB ボイラーは、排煙温度が低いため、煙突の適切な太さと高さが重要です。

また、排気ガスが煙道を通る際には、排気温度も低下します。このため、煙道は可能な限り短くし、煙突は断熱性能の高いものを使用します。

弊社では、専用のソフトを用いて、煙突の仕様を決定しています。

煙突設計上の基本仕様